ながたんと青と ―いちかの料理帖― 4 KC KISS
著:磯谷友紀
出版社:講談社
伯母の町子が連れて来た養子のみちや。
小学一年生だというその男の子が桑乃木に加わった事で、周(あまね)は兄の縁(ゆかり)から実家のある大阪に呼ばれる。
正月までには帰る、そう言った周だったが大晦日になっても彼は戻って来なかった。
業を煮やしたいち日はおせちを届けるという名目で、みちやを連れ周の実家を訪れるのだが……。
登場人物
山口鈴音(やまぐち すずね)
周(あまね)の兄、縁(ゆかり)の妻
ショートカットの可愛い系美女。
周とは幼馴染。
周は彼女に思いを寄せていた。
有川(ありかわ)
周の大学の友人
六四分けイケメン
宮原(みやはら)
周の大学の友人
前髪パッツンショートの女性。
有川と宮原は結婚するにあたり「桑乃木」での披露宴を希望した。
あらすじ
周の実家では挨拶もそこそこに、義父母を退出させた縁(ゆかり)が町子が連れて来たみちやの事で嫌味を言い始めた。
縁の計画では経営不振を解消出来なかった桑乃木(くわのき)に金銭的な援助を続け、ゆくゆくは桑乃木を山口傘下のホテルにする事が目的だった。
しかし、弟の周(あまね)は桑乃木の経営を立て直し、更には跡継ぎとしてみちやを受け入れてしまった。
その事への苛立ちからか縁は嫌味交じりの言葉を紡ぐ。
「ダメでしょ、もう、あんたの家」
破綻するのは時間の問題だ、そう言った縁の言葉にいち日は怒りを感じるよりも、彼に焦りの様な物を感じていた。
そんな縁に周は料亭は良くなってきていると真っ向から反論する。
「一年以内に料亭をもうかる店にします」
そう宣言した周に縁は一年も待てないと言うが、周は父親と一年以内にある程度の収益を上げなければ山口のホテルを建てると約束していた。
社長である父親が約束した事で縁はそれ以上の追及を止めた。
ただ、その後、いち日の作ったおせちに味が薄いとソースをかけ食べながら、自分が社長になるまでせいぜい好きにすればいいと静かに告げた。
感想
今回は実家から戻らない周に会いに、いち日がみちやを連れて彼の下へ押しかけたり、周の実家で出会った縁の妻、鈴音にいち日がマドレーヌの作り方を教えたり、改良したマドレーヌを桑乃木で出したりしました。
今回、印象に残ったのは周の兄、縁(ゆかり)の事でした。
彼はどうも料理に対して腹が膨れればいいというタイプの様でした。
彼の様なタイプ、利益最優先で他は二の次という人物像は、何となくですが露出の多い若手実業家とかやり手コンサルタント等の姿が思い浮かびます。
本来、魅力であった部分を無駄だと取り除き、合理化を進める。
合理化といえば聞こえはいいですが、それは規格の統一であり、ホテル等の宿では何処に行っても同じになるのではないのか。
また、無駄な部署を統廃合し人を切り捨てる事はサービスの低下を招き、結果的に評価は下がるんじゃあ……。
彼が実際どんな事をしているのか作中描かれた訳ではありませんが、読む限りのひととなりを見ていると、そんな人物像を思い浮かべてしまいました。
まとめ
一年以内に桑乃木をもうかる店に。
それを目標にいち日と周は動き始めました。
この巻ではその第一歩として焼き菓子マドレーヌの販売を始めました。
また、鈴音との事、そしていち日の師匠的な存在であるホテルのシェフ田嶋の存在が、周の気持ちに影響を与えているようでした。
今回のラストの事で二人がどう変わっていくのか、そちらも楽しみです。
こちらの作品はコミックDAYSにて一部無料でお読みいただけます。
作者の磯谷友紀さんのTwitterはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。