スインギン ドラゴン タイガー ブギ 5 モーニングKC
作:灰田高鴻
出版社:講談社
芸能プロダクションを立ち上げていた森田(もりた)と作曲家の四方(よも)の暗躍でとらのバンド「スインギンタイガーブギ」は上手く仕事が得られず、ヤクザの桃井が主催する興行で何とか糊口をしのいでいた。
しかし、桃井の興行に来る客は大衆受けする音楽を求めており、バンドの音楽性とマッチしていなかった。
とらはライバルの寅子(のぶこ)を意識し自分の持ち味を殺し客におもねる。
龍治もとらの剣幕に押され、あくまでバックバンドとして抑えた演奏を行った。
そんな場面を見た米兵のスティーブンは激高し、龍治を殴った。
スティーブンは戦争で右手を失っており、それが原因で精神の均衡を欠いていたのだ。
後日、バンドを抜け、スティーブンと再会した龍治は彼と二人協力して一つのベースを奏でる。
音楽が悶々としていた龍治の心を震わせ、彼は前を向き進み始めた。
一方、とらは余りに受けない自分の歌に自信を失い、何処へ向かえばいいのか分からなくなっていた。
そんなとらを森田は自身の芸能事務所に誘う。
登場人物
貞吉(さだきち)
城東リズムボーイズで下働きをしていた青年
スインギンタイガーブギの演奏を聞いて丸山の下を訪れた。
高校時代はアルトサックスを吹いていた。
あらすじ
姉の事を考え、龍治への恋心を断ち切る意味でとらは森田の提案を受け入れる事にした。
森田はバンドのメンバー、峯川、鮫島、藤田の三人にも事前に話を通し、移籍の話を水面下で進めていた。
金に困っていた三人は好待遇な条件に飛び付く。
しかし、話を聞かされた龍治は空回りだが頑張っていた丸山を裏切った三人に激高、話合いの場を後にした。
翌日、改めて丸山と龍治と話し、メンバーは別々の道を進む事を決め、別れを選んだ。
その後はとらは森田と組んでいる四方の指導の下、レコードデビューする事になった。
四方は自分が育てている寅子ととらを競わせ、お互いが高め合う関係を理想としていた。
しかし、寅子は過去のトラウマからとらを四方が指導する事で捨てられると強い危機感を持った。
その事で歌えなくなった寅子に代わり、とらは彼女の分までステージで歌う事になる。
だが、歓声を浴びながらも彼女は満たされる事は無く、無意識のうちに龍治のベースを求めていた。
感想
今回は離ればなれになったとらと龍治、龍治と貞吉で新たなバンド結成、とらのデビュー、ピアニスト時子の過去等が描かれました。
今回はその中でも龍治を求めるとらの姿が印象に残りました。
ステージでの演奏は一流の奏者たちがバックバンドとして行っていました。
しかし、彼らの演奏ではとらの心は踊る事は無かった様でした。
恐らくですが、バンドの演奏は綺麗にまとまってはいても、メインであるとらの歌を、心を高揚させる情熱の様な物は無かったのだろうと思います。
何というか、演奏に気持ちを乗せる事、張り合う様なセッション、彼女が求めているのはそれなんだろうなと今回のエピソードを読んでいてそんな事を思いました。
まとめ
この巻のラスト、時子がピアノを弾けなくなった原因を作った男と揉め、龍治は右腕をアイスピックで刺されてしまいました。
次はいよいよ完結巻、龍治の怪我は、とらの選択は、そしてタイトルのスインギンドラゴンタイガーブギは結成されるのか、次巻も読むのが楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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