ヴィンランド・サガ 25 アフタヌーンKC
作:幸村誠
出版社:講談社
レイフを尋ねグリーンランドに立ち寄ったトルフィン。
そこには船を降り急激に衰えたレイフの姿がありました。
この巻ではそんな彼に物資の一部を預け、一次隊を引き連れたトルフィンはいよいよ海を超えて西、ヴィンランドへと向かいます。
登場人物
オッド
グズリーズの弟
黒髪顎鬚の青年。
麦の育たないグリーンランドで暮らしている為、麦畑に強い憧れを持つ。
フレイヤ
ギョロから金を奪い逃げた女。
まぁ、そういう人です。
ブーウォイン(知恵ある者)
先住民の賢者
森を切り開き畑を作っているトルフィン達に嫌悪感を抱く。
ただ彼は自分の知識と経験に照らし合わせ助言を与えるのみ。
決めるのは部族の人々。
あらすじ
衰えたレイフと、集まった一次隊のキャンプを眺めながらトルフィンは話す。
レイフは体の利かない老いぼれだと自分を称し、もうお前達の時代だとトルフィンの背中を押した。
しかし、トルフィンはレイフにまだまだ教わりたい事があった。
そんなトルフィンにレイフは煙管を取り出し手渡す。
ヴィンランドに住む先住民にとって煙を吸う事は大事な事。
ニカマク達が勧めて来たら必ず吸いなさい。
ニカマク?と尋ねたトルフィンにレイフは恐らく友達という意味だろうと答えた。
先住民たちはレイフをニカマクと呼び、レイフも彼らをニカマクと呼んだ。
そんな話をしている内、トルフィンはレイフが先住民から貰った羽根飾りを持っていた事を思い出す。
あの羽根飾りは何処へ行ったか分からないらしい。
なにせ二十年経っている。
あれから二十年……あの時の事がトルフィンの脳裏に浮かび上がる。
杖を頼りに立ち上がったレイフをトルフィンは当たり前の様に気遣った。
そんなトルフィンを見て、レイフは「立派になったな……トールズが今のお前を見たらどんなにか喜んだことだろう」と満足気な笑みを浮かべた。
「思いのままにゆくがいい。我が息子よ」
そう言ったレイフの後ろに、トルフィンにはトールズ、アシェラッド、彼を育ててくれた二人の父の姿を見た。
「はい、お父さん」
肩に手を置いたレイフにトルフィンは静かに答えた。
感想
今回は冒頭、老いたレイフとの会話から始まり、グリーンランドでのグズリーズとギョロ、北大西洋横断、岩の大地マルクランド、南下しレイフの弟トルヴァルドが現地人と争った場所、更に南下、開拓予定地へ到着、開拓と先住民達との接触等が描かれました。
ヴィンランド・サガは作品が始まった当初から買い続けているので、ようやく作品名であるヴィンランドに辿り着いたと思うと、一読者ながら感慨もひとしおです。
剣に憧れていた少年時代、憧れの対象であった父を失い復讐に囚われ、その復讐相手であり、育ての親であったアシェラッドを失い、奴隷になりそこから解放され、クヌートと対話し、自身のルーツであったヴァイキング達とも離れ、ようやく目指した土地に辿り着く。
本当に長かったなぁと思います。
ですが、彼の誰も殺さない戦いはこれからが本番。
先住民たちとトルフィンがどんな風に交渉するのか、次も楽しみです。
まとめ
余り詳しくは無いのですが、アメリカに住んでいたネイティブの人達は好戦的な部族の人もいれば、友好的な人もいた様に記憶しています。
トルフィン達が接触した部族の人々がどんな選択をするのか、次巻が早く読みたいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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