暁の犬 3 SPコミックス
漫画:高瀬理恵
原作:鳥羽亮
時代考証:山田順子
出版社:リイド社
いつまでも独り身の佐内(さない)を案じ、彼の世話を焼いている母親代わりのおしまは満枝(みつえ)という元御家人の娘を佐内の道場に向かわせます。
しかし、裏稼業で刺客を生業にしている佐内は、そんなおしまの気遣いに気付きながらも満枝を嫁に迎える気はありませんでした。
その満枝を家まで送り届け、風邪だというおしまを見舞った帰り道、佐内は父を斬ったであろう二胴の使い手に襲われ……。
主要登場人物
稲垣兵衛(いながき ひょうえ)
先手組物頭
精悍な顔立ちのイケメン。
二胴を使う丹沢流の使い手では無く、一刀無双流の手練れ。
相良から斬る事を依頼された者の一人。
おまつ
稲垣が懇意にしている女
蕎麦屋玉井庵で働く女中。
商売女では無く、稲垣に本気で惚れているようだ。
坂東孫十郎(ばんどう まごじゅうろう)
唐津藩江戸次席家老大道寺の配下、先手組物頭
ジト目で不気味な雰囲気の男
お気に入りの稲垣を斬られた大道寺は、坂東に佐内の父を斬った者を差し向けるよう命じる。
しかし坂東は若手を差し向ける事を進言した。
小黒竹弥(こぐろ たけや)
坂東の配下
太い眉毛で唇の厚い濃い顔の男
元密偵。
佐治又エ門(さじ またえもん)
坂東の配下
切れ長な目をした細面の男。
元密偵。
あらすじ
暗闇の中、対峙したガッチリとした体格の男。
その男は佐内が鍔に親指を掛けた事に反応し、剣気を放つと抜いた刀を八双に構え襲い掛かって来た。
佐内もそれに反応し刀を抜くが、男はそれを意に介さず剣を振るおうとした。
斬られるッ!!
そう佐内が感じた瞬間、投げられた手裏剣が男の攻撃を止めた。
見上げた先、屋根の上に黒頭巾の男の姿。
味方か? ともかく今は逃げねば。
佐内は町屋の道を仕切る壁を破り、蔵の脇の路地を駆け抜け大通りへと飛び出した。
どうやら男が追って来る様子は無い。
その後、大通りを歩きながら佐内は男が使った異様な剣を思い腕を抱き震えた。
男の剣には一切防御する素振りが無かった。
するどい剣気を放ち、その後は八双に構えた刀を振り下ろすのみ。
迷い無く、物を斬る様に振り下ろされるそれは添え物斬りといっていい代物だった。
実際に男と対峙した佐内は、あの剣が、あの男が父を斬ったのだと確信した。
感想
今回は父親を斬ったと思われる男との邂逅から始まり、敵方である江戸次席家老、大道寺のお気に入りである稲垣の暗殺、そして三人目の標的高島左近襲撃の様子が描かれました。
今回、印象に残ったのは冒頭の男との戦いで佐内が感じた恐怖でした。
相手の男はあらすじに書いた様に、防御面を一切考えずただ斬る事のみに特化した剣の使い手の様でした。
作中、佐内は彼に勝つ切っ掛けを掴む為、稲垣の女おまつを手に掛けます。
顔を見られ相棒の根岸が名乗りを上げた為、名と流派まで知られたとはいえ、ただの町娘を斬った佐内。
そこまでしても勝てないと思わせた男とは一体誰なのか。
先が気になります。
まとめ
この巻の終盤、襲撃を予測していた高島によって、佐内と根岸は窮地に陥ります。
手傷を負い、這う這うの体で道場に返った佐内は傷の手当を行っている所を満枝に見られ……。
次巻、満枝と佐内がどうなるのか。そちらの行方も楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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