風都探偵 9 ビックコミックス
脚本:三条陸
作画:佐藤まさき
原作:石ノ森章太郎
監修:塚田英明
クリーチャーデザイン:寺田克也
出版社:小学館
仮面ライダーWの正統続編。
テレビシリーズのその後を描く作品です。
登場人物
富士見ナオ(ふじみ なお)
風都のゆるキャラ「ふうとくん」の中の人
黒髪の中年女性。
スーツアクターとしては一流で彼女のファンは多い。
暴漢に襲われ、着ぐるみを奪われそうになった所をときめに救われる。
ヒカル
ナオを襲った男
以前、風都タワーを占拠した仮面ライダーエターナルを信奉する組織「蒼炎群」に所属する男。
テロの対象として「ふうとくん」をつけ狙う。
テツ
蒼炎群のリーダー
エターナルに心酔し風都の破壊を望む。
エターナルを倒したWを憎んでいる。
所持するガイアメモリーを部下で試してから使用しているので、小物感がぬぐえない。
ジミー中田(じみーなかた)
ストリートミュージシャン
以前、翔太郎たちが助けた青年。
歌は下手だがその歌声は心を震わせる。
風都感謝祭に応援として駆け付けた。
あらすじ
裏風都のリーダ、万灯とWの戦い。
それを見たときめの脳裏に、白い仮面ライダーとWの戦いで破壊される風都のシンボル、風都タワーの姿が浮かぶ。
そのイメージが意味する物は何なのか、記憶を失っているときめは手掛かりを求め一人風都タワーを訪れる。
そんなときめが心配な翔太郎は彼女の後を変装し尾行する。
しかし、所長の亜樹子とフィリップに見つかり、女の子を付け回した事を亜樹子に咎められる。
その後、結局ときめにも見つかり、翔太郎達はときめが何故、風都タワーを訪れていたのか訳を聞いた。
ときめは彼らにWの戦いを記憶として見た事を伏せ話した。
理由は分からないが、その事は翔太郎に言ってはいけない様な気がときめにはしていたのだ。
そんなときめにフィリップは、今から風都タワーを翔太郎と見て回り給えと提案する。
気をきかせ退散したフィリップ達に表面上はボヤキつつも、翔太郎はチケット売り場へと並んだ。
その売り場の行列から翔太郎がときめに目をやると、彼女はタワーのフロア案内をパンフレット片手に真剣な表情で眺めていた。
そのときめの後ろを大きなスーツケースを押す女性が通り過ぎる。
車輪の付いた人の背丈ほどもあるスーツケース。
ときめは楽器かスピーカーかなと想像をめぐらす。
すると、そのスーツケースを押していた女性の後ろに近寄った男が、いきなり女性を足蹴にすると運んでいたスーツケースを奪おうとした。
更に、奪われまいと組み付いた女性を男は払いのけ、階段から突き落とす。
その男を騒ぎに気付いた翔太郎が駆け付ける前に、ときめが男にハイキックを決め撃退した。
ときめは階段から落ちた女性に駆け寄り、翔太郎はときめが撃退した男の行方を窺う。
しかし男は逃げ足が速く、翔太郎が追う前にタワーから駆け去った。
その後、二人は場所を移し女性から話を聞いた。
周囲を伺いオフレコにして欲しいという女性に、翔太郎は自分は探偵だと名乗り口の堅さを保証した。
それを聞いた女性はおもむろにスーツケースを開ける。
スーツケースの中には風都で一番人気のゆるキャラ「ふうとくん」の着ぐるみが入っていた。
一気にテンションの上がる翔太郎に言わないでねと女性は前置きしながら、自分がふうとくんのスーツアクター、富士見ナオである事を告げた。
感想
今回は映画版に登場する仮面ライダーエターナル(大道克己:松岡充)を信奉する組織「蒼炎群」のふうとくん襲撃を巡る事件が描かれました。
今回、印象に残ったのはかつて起きたエターナルの事件。
その場にいたふうとくんの中の人、富士見ナオの回想シーンでした。
彼女がステージ上でふうとくんを演じていた時、エターナルのタワー占拠が起きました。
ナオは混乱する現場でふうとくんとして、パニックを起こした少年を勇気づけ避難させます。
その事はナオにスーツアクターが、人を勇気を与えられる仕事なんだという誇りを刻みました。
人はやはり誰かを救えた時、自分が他者の役に立っていると感じた時、最上の喜びを感じるのかもしれません。
今回のナオの姿を見ていてそんな事を感じました。
まとめ
少しずつ蘇るときめの過去、そして新たに裏風都に加わった者の存在。
次回の事件はどうなるのか、巻末の予告では“死仮面”という不気味な仮面が事件の中核にある様でした。
次も読むのが楽しみです。
作画担当の佐藤まさきさんのTwitterはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。