シャンピニオンの魔女 1 花とゆめCOMICS
著:樋口橘
出版社:白泉社
黒魔女ルーナ。
彼女の触れた場所には毒キノコが生え、その吐息さえも毒を含む為、ルーナに近づく者はいませんでした。
それでも彼女は人を愛し、一人住む森の家から街へ薬を売りに出かけます。
登場人物
ルーナ
黒魔女
シャンピニオンの魔女と呼ばれる年若い魔女。
黒髪で痩せた体の少女。
無口、というか呼気で人を害する事を気にしてほぼ人前では喋らない。
人の放った邪気は土地に溜まり、彼女がその邪気に触れると毒キノコが生える。
毒キノコは人が食べると害があるが、その内部で邪気を浄化する。
ルーナはキノコを生やし汚染の浄化を続けてきた、その影響で彼女の体は毒の塊の様になっている。
人を害さず人間の事を知れる本が大好き。
ミノス
ルーナの使い魔?
家にいる時は人型の小さな牛の姿をしている。
薬を売りに行くときは荷物持ちとして普通の牛に代わる。
おしゃべり。
オーギュスト・ジレ
薬屋
過去にルーナに救われた事がある。
その時、彼女から魔女の事を聞いた為、魔女についての偏見が少ない。
成長後は薬屋として彼女の薬を取り扱う。
本屋
精霊と人の子孫でルーナにも気さくに接してくれる数少ない一人。
精霊の血を引いている為とても美形だが、普段は普通の人の姿で暮らしている。
アンリ
街に住むハンサムな少年
ルーナが似顔絵を描いた事で、魂が離れ彼女と親交を持つ。
クロード
使い魔
ルーナの尊敬する大魔法使いの使い魔。
黒魔導士を駆逐しようとする白魔女達を警戒し、ルーナに不用意に人と関りを持たない様、警告する。
あらすじ
黒い森に一人する黒魔女ルーナ。
彼女は最近は薬作りにハマり、作った薬を売る事で好きな本を買う為の糧を得ていた。
毒の体を持つ為、人に触れる事、お喋りを楽しむ事さえ簡単には行えないルーナだったが、人との触れ合いには強く憧れていた。
ある時、街で見かけた少年を気に入ったルーナは家に戻り彼の姿を絵に描いた。
それは人や物に触れられないルーナの趣味の一つで、綺麗な物を絵に描き残すというものだった。
しかし余りに絵の出来が良かったので、ルーナの魔力によって少年の絵は紙から抜け出し動き出してしまう。
ルーナはその絵の少年アンリの微笑みに魅かれ、生まれて初めて人と触れ合い夜空の下で散歩をした。
感想
ルーナの暮らしている国では国の中枢に白魔女が入り込み、邪魔な在野の魔女と魔法使いを、黒魔女、黒魔導士と呼んで迫害しているようです。
ルーナは特に目立った事をしていないので目を付けられていない様ですが、派手な行いをすれば魔女狩りに遭い処刑される事もあるみたいです。
史実における魔女狩りも、在野の薬草医、土着信仰等を邪魔に思ったキリスト教を信じた人による異端者狩りの側面も持っていたと記憶しています。
辺獄のシュヴェスタでエラの養母、治療師アンゲーリカが殺害された際も強い苛立ちを覚えました。
今作でも国、為政者にとって都合の悪い真実を隠蔽し、住民を扇動、矛先を邪魔者に向けています。
本当にその人が悪なのか。
片方の言い分だけを聞き、言葉の上っ面だけで判断しないよう自分で考える事を忘れない様にしたいです。
まとめ
ルーナはとてもシャイで可愛らしい女の子です。
ただ、彼女は常に毒を纏っている為、人と触れ合えないだけ。
今巻のラストではそのルーナに新しい出会いがありました。
その人物との関係がどうなるのか、次巻も楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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