税金で買った本 2 ヤンマガKC
原作:ずいの
漫画:系山冏
出版社:講談社
図書館でのバイトの帰り、学校の友人の灰坂(はいさか)達に絡まれたヤンキー少年の石平紀一(いしだいら きいち)。
不良の紀一が真面目になった様に感じた灰坂は、その事に苛立ち煽る様に紀一に迫るが……。
登場人物
今村(いまむら)
図書館司書
お団子セミロングの女性。
寄贈担当。
押しに弱く断る事が出来ない性格。
山田(やまだ)
紀一の友人
太眉鼻絆創膏の少年。
図書館で働いている紀一の様子を見に来る。
朝野(あさの)
図書館司書
子供には優しいが大人には厳しい女性。
児童係。
紀一に幼児への読み聞かせを依頼する。
灰坂(はいさか)
紀一の友人
涙ボクロにピアスの少年。
先輩にも恐れず立ち向かう紀一を見て、憧れを抱いていた。
なので図書館で働き始めた紀一には不満を抱いている。
あらすじ
今更頑張ったって、あっち側のカシコイ人間にはなれない。
先輩に殴られるの我慢して生きていくしかない。
お前の人生決まってて、もう変わんねーよ、馬鹿なりに賢い道選ぼうぜ。
それともお勉強するの、楽しくなっちゃった。
そんな灰坂の言葉に気恥ずかしさから紀一は、好きで図書館に通っている訳では無く、バイトだから仕方なくと言い訳を口にする。
そんな紀一の背後にスッと巨大な人影が現れる。
灰坂達の反応でそれに気付いた紀一が振り返ると、そこにはニタニタと笑みを浮かべる図書館司書の白井(しらい)がいた。
白井はポンッと紀一の肩に手を置くと、
「さっきのキミ…………すごくダサいな!」
と満面の笑みを浮かべ言い放った。
白井の言葉に「は!? 何が!?」と返した紀一に彼は「思ってないこと言わされてるように見えたからさ」と続けた。
突然現れた白井にもう一人の友人、山田が突っかかるがマッチョな白井はビクともせず、灰坂は紀一に「お前が自分の居場所に気付くのを待つ」と言葉を残しその場を去った。
それを見た白井も、笑みを浮かべその場を去ろうとした。
紀一はそんな白井を引き止め、ダサいと言った理由を問う。
すると彼は本を読むのはダサイって価値観に負けたって事かなと話し、過去を語り始めた。
かつて陰キャなオタクだった白井は運動が出来ず、体育教師にしごかれて辛かった事を話し、次いで図書館での仕事の為、体を鍛えた事は楽しかったと続けた。
嫌だったのは運動では無く、人にやらされてるのと、人と比べられている事だったと話した。
「石平くんにとっては、それが勉強なのかとおもってさ」
「何? 説教してーの?」
「いや、ただの悪口だけど……石平くんがそんなクソダサ野郎に成り下がるとは思わなかったから……つい酷い事言っちゃった。ごめんね」
白井の言葉に紀一は段々と凹んでいく。
白井は何をカッコイイと思うかは自由だが、オタクだろうがヤンキーだろうが人の顔色見て、本音と違う事やらされてんのはダサイよと纏めた。
感想
今回は冒頭、紀一と友人、そして白井のエピソードから始まり、寄贈本、フランケンシュタインといたずら電話、紀一と山田、紀一と朝野と読み聞かせ、がらがらどんと灰坂等が描かれました。
今回はその中でも冒頭の白井の話が印象に残りました。
作中ではヤンキー少年の紀一が本を読む事を、カッコ悪い事として友人から馬鹿にされていました。
ただ、白井の言う様に、自分が面白く楽しいと思っている事は胸を張って楽しいと言えばいいと感じます。
他人の価値観では無く、自分の価値観に従う事。
人は人であるし、人生は自分の物。
エピソードを読んでいてそんな事を感じました。
まとめ
この巻のラスト、紀一は灰坂に自分が知らない事を知る事が大好きだと告げ、人に笑われたぐらいでは止めないと宣言しました。
それに対する灰坂の反応は俺は俺と言える紀一はカッコイイというものでした。
ただ、灰坂の表情は何処か影があり……。
暴力で灰坂達を支配してそうな先輩の存在が気になります。
この作品はヤンマガwebにて一部無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。