バブリーズ・フォーエバー
ソード・ワールドリプレイ集(9)
著:清松みゆき/グループSNE
画:中村博文・竜胆丈二
出版社: 富士見書房 富士見ドラゴンブック
スイフリーの呪いを、どうにか解くことが出来たアーチ―達。
しかし呪いによりスイフリーが邪悪認定されたことで、報告書を届けアノスの高官にコネを作るという目論見は潰えてしまった。
もはや金には困っていない冒険者たち、しかし地位と権力を求め彼らの冒険は続く。
バブリーズアドベンチャラーズによるリプレイ集、第四集。
あらすじや感想など
第十一話 冒険者たち海へ
シナリオ あらすじ
アノスの首都、ファーズで今後、どうするかを話し合っていたアーチ―達六人。
彼らは、前回知り合った建築家兼音楽家のエライセンと再会する。
エライセンは相談したいことがあるという。
スイフリー処世術(儲け話を他人に教える人はいない)等も出る中、取り敢えず話だけでもと、彼の話を聞くことにする。
話を聞くと、エライセンのいとこ、アノスで財務大臣を務めるカルプラス伯爵にトラブルが起きているらしい。
エライセンは現在、音楽堂を建設中だが費用は伯爵から出ていた。
だが伯爵の持つ交易船が沈んでしまい、しわ寄せでエライセンが建てている音楽堂の建設費用が出せなくなったのだ。
スイフリーの解呪に、彼の友人が強力してくれたこともあり、一行はカルプラス伯爵に話を聞くことにした。
伯爵の話では、交易船はジャイアント・オクトパスに襲われて沈んだようだ。
船には金や絹、フレアストーンと呼ばれる宝石も積まれていた。 それを回収することが今回の依頼だ。
依頼を受ける事にして、お目付け役のクレア(ファリスの神官戦士、前回スイフリーの呪いを独断で解呪したため、出世の道が絶たれた。)を加え一行は、船で交易船が沈んだという海に向かった。
魔法を使い、海に潜りと交易船を探すと船には大蛸が絡みついていた。
どうするか話し合っていると一人のマーマンが話しかけてきた。
彼はブルボンと名乗り、大蛸とは敵対しているようだ。
ブルボンは海に沈んだものは、全部マーマンの物と考えている。
積み荷を回収するため、彼らはブルボンと協力し、大蛸と戦うことにした。
感想
ソード・ワールドのリプレイでは初となる、水中戦です。
水中呼吸と水圧軽減の魔法が無いと、海底探検は難しい為、今まで書かれる事がありませんでした。
ソード・ワールドでは、古代魔法王国の海上都市がいくつも海に沈んでいることもあり、なかなか魅力的な舞台になっています。
第十二話 陰謀の予兆
シナリオ あらすじ
無事、積み荷を回収したアーチ―達は、伯爵から彼の別荘である城をもらい受けた。
レジィナからの提案で、座長一家(虎のトップと一緒に逃げてもらった家族)を迎えに行くことにして、それも含め一度オランへ戻ることにした。
道中、フィリスを見つめる男に出会ったり、無事、座長一家と再会したりしながら、オランへの帰還を果たした。
その後、オランで買い出しを済ませ、アノスの手に入れた城へ向かった。
城は長年放置されており、手入れが必要だったが、領主と勘違いした村人の助けも借り、修繕も進んだ。
そんな折、伯爵とエライセンから音楽堂のこけら落としの招待状が届く。
彼らは衣裳をあつらえ、アノスの首都、ファーズへ向かった。
こけら落としは順調に進むが、途中で騎士団が介入。
伯爵を逮捕するという事態が起こる。
反逆罪で逮捕された伯爵の財産権は停止されてしまう。
無論、一行が譲り受けた城も、貸与という形だったので没収だ。
城を取り戻すため、伯爵の潔白を証明する調査が始まった。
感想
高レベルのソーサラーになると、独房にいれてもテレポートで脱出出来てしまいます。
工作員として活動されると、やられる側はかなり厄介でしょう。
レジィナが座長一家を迎えに行ったシーンは、かなりホッコリしました。
第十三話 魔術師なんて怖くない
シナリオ あらすじ
カルプラス伯爵の疑いを晴らすため、調査を続ける一行だったが、フィリスの迷いにより工作員の魔術師を取り逃がしてしまう。
クレアの伝手で屋敷を借り、フィリスに執着している魔術師をおびき出そうと画策するが、その間にもアノスの要職につく人間に被害が及んでしまう。
魔術師からフィリスへの手紙を受け取った一行は、彼の誘いを利用し魔術師との対決へ挑むのだった。
感想
魔術師は彼のかつての恋人だった、クラリッサという女性に瓜二つのフィリスを手に入れようとします。
彼はフィリスの容姿のみを求めており、彼女の人格は無視しています。
事件解決時の中村博文さんの描いた、イラストのフィリスがかなり怖いです。
第十四話 バブリーズ・フォーエバー
シナリオ あらすじ
前回、国を騒がせた魔術師を捕らえた功績により、アノス国で騎士叙勲を受けることになった一行。
消去法でアーチボルトが騎士になり、領主として城の周辺も含め治める運びとなった。
城で過ごす彼らの元に、村から知らせが入る。
何でも行き倒れの女性を保護したのだが、彼女は一行に頼みがあるというのだ。
女性は素足で旅をしてきたらしく、その足は血に塗れていた。
傷を癒し話を聞くと、彼女はかつて交易船を探していた際知り合った、ブルボンの恋人のマーメイドだった。
彼女は集落がダークエルフに襲われ、海に毒を流される事態となった。
秘薬を使って、人間になり海からここまで助けを乞うため、歩いて来たのだという。
ダークエルフの事は、自分たちとも無関係ではないため一行は再び海へ向かうのだった。
感想
様々なトラブルを解決し続け、彼らはとうとう城持ちの騎士にまで成り上がってしまいました。
最早一介の冒険者とは呼べず、セッションも最終回と相成りました。
最終話ではイラストもかなり遊んでおり、キャラクターの風体も様変わりしています。
まとめ
TRPGを遊ぶ際、お手本となるのは第一シリーズのスチャラカ冒険隊だと思います。
オーソドックスで基本に忠実なプレイスタイルは、ロールプレイの参考になるでしょう。
ですがリプレイという形で読んだものの中で、一番面白かったのは、やはりこのシリーズだと思います。