2万ガメルを取り返せ!
ソード・ワールドリプレイ集(6)
著:清松みゆき/グループSNE
画:中村博文・竜胆丈二
出版社: 富士見書房 富士見ドラゴンブック
ソード・ワールドRPGのプレイの様子を収録したリプレイ集。
第一弾はスチャラカ冒険隊の活躍を収録したもので、こちらはお手本になるようなオーソドックスな内容でした。
第二弾は決まったキャンペーンシナリオに沿ってプレイするものでした。
第三段の本作は、GMである清松みゆきさんが、作ったシナリオをベースに各プレイヤーが自由に遊んでいる印象です。
かなりきわどい発言などもあり、ルールを知り尽くしているプレイヤーだからこそ出来る、戦法なども登場します。
昔の作品ですが、裏の裏を読むプレイヤーたちの性格もあって、たいへん面白いものになっています。
あらすじや感想など
第一話 賢者の事情
シナリオ あらすじ
第一回目ということでキャラクターの自己紹介から始まります。
以下はキャラクターの詳細(職業は主に使用した技能を書いています。)
・アーチボルト・アーウィン・ウィムジー
人間 男 三十二歳 ファイター
学者の家系出身、人間中心主義。
・フィリス
人間 女 二十四歳 ソーサラー
魔術師の家系の娘、婚活中。
・グイズノー
人間 男 二十九歳 プリースト
ラーダの神官、けっこう腹黒い。
・レジィナ
人間 女 十八歳 ファイター・バード
旅芸人出身、パーティの良心。
・パラサ・ピルぺ・パン
グラスランナー 男 四十三歳 シーフ
にゅう、アイテム。
・スイフリー
エルフ 男 百四十歳 シャーマン
白粉、つけ耳。
以上のメンバーが知り合う前からシナリオは始まります。
場所はオランの繁華街、喧嘩のシーンからスタートします。
争っているのは、中肉中背の男と、背の高い痩せた男。
いきなり背の高い男が、街中で魔法を使います。
使われた魔法はエネルギーボルト。
中肉中背の男は魔法をうけて倒れこみ、背の高い男は走り去ります。
プレイヤーたちは、それぞれ走り去った男を追う者と、倒れた男を介抱し詳しい話を聞くため、酒場についていく者に分かれて行動します。(フィリスだけリンゴ食ってました。)
逃げた男を追って行ったスイフリーとパラサは男を見失いました。
酒場で話を聞くことにした三人にスイフリーたちも合流し、依頼の話になると、急に割り込んできたフィリスも加え六人で事の経緯を聞きます。
男は賢者の学院(魔術師を志す者が通う学院)で監査委員をしているクナントンと名乗ります。
彼の話では、逃げた男はマルキという名で、学院で作られたコモンルーン(合言葉で魔法を発動するアイテム。主に指輪等。魔術の素養がない者でも魔法が使える。発動時の魔力は使用者の者を使う)を持ち出していると語ります。
クナントンは学問一筋で荒事には慣れておらず、彼を捕まえてコモンルーンを取り返して欲しいと、プレイヤーに依頼しました。
コモンルーンのなかには、ライトニングの魔法を使える物のあり、単独行動は危険と、彼らはクナントンから聞いた、マルキの家に全員で向かうことにしました。
感想
このパーティでの、記念すべき初めての冒険はシティーアドベンチャーでした。
すでにパラサが便利なアイテム扱いされていたり、グイズノーが死んで八千ガメル(本来は八万ガメル)で生き返ったりします。
なんとも不安が残るスタートでした。
第二話 オラン商人道
シナリオ あらすじ
前回の依頼で行方が分からなくなった、コモンルーン(ライトニング)の捜索をクナントンから依頼されます。
グイズノーの蘇生のため、報酬を全て使ってしまった一行は否応なしに依頼を受けることにします。
前回の依頼で娘を助けることになった、故買屋のパイロンから、ボヤージという商人に売ったことを聞き出します。
パイロンや冒険者からボヤージの評判を聞くと、かなり金に汚い人物であることが分かります。
コモンルーンを取り返すため、ボヤージがパダに向かうことを聞いた一行は、護衛として同行することにしました。
感想
ボヤージは安く買って、高く売ることを信条にしている男です。
他にも護衛を頼んだ冒険者たちに入札させ、一番安い者をやとったり、難癖をつけて依頼料を払わなかったりします。
前回報酬が無かったプレイヤーたちは、何とか利益を上げようとします。
アーチーとスイフリーが、全く同じ提案をしていたのには笑いました。
第三話 穴の中の懲りない面々
シナリオ あらすじ
前回ボヤージからコモンルーンを、取り戻すことに成功した一行はオランに戻って来ました。
冒険者の店で仕事を探していると、ボヤージからオランのテントに隠してある、金庫を持ってきてほしいと依頼が入りました。
金庫は三つあり、二つは罠だと手紙にはありました。
所持金の乏しい彼らは、気が進まないながらも依頼を受けることにします。
テントに行くと前回助けたボヤージの元情婦が、金庫を掘り出そうとしていました。
彼女と話し金庫を手に入れた一行は、パダを目指して旅立ちます。
パダで一行は金庫の受け渡しを指示された、鼠という人物と出会います。
鼠の話では、ボヤージは盗賊ギルドの幹部に渡す商品に不備があったため、見せしめにパダの遺跡に放り込まれた様でした。
彼を救出しないと報酬が出ない一行は、遺跡に向かうのでした。
感想
今回はこのパーティで初めてのダンジョン探索でした。
即死する罠やヘルハウンド(LV5)等かなり危険な探索でした。
サイコロの出目次第では、フィリスは黒焦げになっていたでしょう。
スイフリーの「言葉の魔術師」の片鱗が垣間見えたセッションでした。
第四話 2万ガメルを取り返せ
シナリオ あらすじ
ボヤージが支払うはずだった報酬(埋められていた金庫)は、何者かがすでに持ち去った後でした。
持ち去ったのは元情婦とあたりをつけ、彼らは捜索を開始します。
金庫には罠と鍵、それに魔法がかかっていたので、一行はまず盗賊ギルドを訪ねます。
ギルドでパラサが聞いた話では、持ち去ったのはやはり元情婦で金庫の中身は、元情婦、賢者の学院、盗賊ギルドで分けたということでした。
盗賊ギルドともめたくない一行は、賢者の学院に話を聞きに向かいます。
賢者の学院も事情を、知らなかったと弁明します。
スイフリーの提案で報酬と同程度の、価値のあるアイテムをもらう事で手を打つことになりました。
感想
スイフリーは人間社会に興味をもって、森から出てきたエルフで、世間の事情に疎いという設定だったはずなのですが、いつの間にやら交渉事は彼が一手に引き受けるようになっています。
スリフリーとアーチ―を中心に、どんどん黒くなっていく一行。
レジィナだけが、唯一パーティの良心として踏ん張っている感じです。
まとめ
一巻の時点ですでにスイフリーの白粉・つけ耳疑惑はネタになっていました。
最初の依頼でグイズノーが死んで報酬がゼロだったことや、その後もあまりお金が入ってこなかったことが原因だったのか、報酬に対してかなり貪欲なパーティになっています。